銀行融資手続きと対策/事業資金の資金調達・資金繰り/名古屋・愛知・岐阜・三重

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代表者プロフィール
大学卒業後、政府系金融機関(公庫)に勤務し公的融資関連制度の構築・運用・審査・融資相談業務に従事。その後、会計事務所勤務等での銀行借入・資金繰り支援・公的助成金(補助金)申請支援および経営コンサルティング業務の経験を経て、2006年3月より独立し、現職。
経済産業大臣登録 中小企業診断士
(登録NO.214011)


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融資手続きと対策
融資獲得の心得
自社の返済能力を知る
金融機関の計画的な交渉
中小企業への融資審査のツボを押さえた資料作成&交渉の実施

■融資手続きと対策

 銀行からの融資手続きでは、慣れない、しかも面倒くさい手続き(書類提出)が待ち受けています。 
そこで、これらの手続きを事前に踏まえた、周到な準備を行うことで、後々、手続きをスムーズに進められることはもちろん、精度の高い資料提出も可能となることから、融資獲得のチャンスが拡がります。
 一般的な、融資申込手順および提出書類、審査上のポイントについて、次の通りとなります。(実際の手続き内容は申込み状況等により、これと異なる場合があります。)

1.金融機関の選定

 創業前もしくは創業間もない企業など事業実績に乏しい企業の場合、現状では民間の金融機関からの資金調達はまずは困難であり、必要な資金は公的融資頼みとなります。
新規開業資金の創業融資対策
 創業後、ある程度実績を積んだ企業であれば、地元の信用組合・信用金庫の取引から始まり、その後地方銀行へと徐々に取引の幅を広げていくのが一般的です。(ここでは、金融機関の付き合い方等についての詳細は省略します。)
 公的融資の利用で気をつけたいのが「申込人の資格要件」です。これは創業時に利用する制度に限ったことではなく、この点をうっかりして融資を受けられないといったケースもありますので、事前によく確認しておく必要があります。

2.融資面談の予約

 申込み金融機関が決まったら、融資申込みの面談のための予約を入れます。
 一般的に1週間ぐらいまでに「面談通知書」等による案内があり、面談日が決まります。

3 .融資面談と提出書類

 最近では、個人情報保護の観点から、税理士やコンサルタントなどの第三者の同席が難しいケースも多く、通常、会社の代表者がお一人での臨まれることとなります。
 このことからも、面談に備えた十二分な事前準備が求められることになります。
私が融資手続き支援に携わってきた中で、面談時に金融機関から提出を求められる主な書類を整理すると、次表の通りとなります。
提  出  書  類 備     考
決算関係
@決算書(2〜3期分)
A税務申告書
B総勘定元帳

決算後一定期間経過の場合、最近の試算表
税務署受付印のあるもの、科目明細含む一式
補助簿も含まれることも


取引関係等
C銀行借入明細・預金通帳
D見積書
D法人税、事業税、消費税および源泉所得税の領収書
E小切手、手形帳
F商業登記簿謄本
G固定資産税課税明細・固定資産税領収書
H所有不動産一覧
I本人であることを証明するもの
代表者個人名義分の提出の場合あり
設備資金
の場合



支払手形帳、受取手形帳
最近時のもの
代表者個人名義分の提出の場合あり

担保設定状況

運転免許書、パスポート、住基台帳カードなど
収支計画 J仕入れ・販売実績
K事業計画書
L収支予想表
M資金繰り予想表

新規事業などの場合
2年程度
1〜2年
                                   
 面談の申し込みから、短期間の間に上記表に掲げる書類を収集および作成することとなり、殆どの方が本業に従事しながらのことを考えると大変ハードな作業となります。
 提出書類の中には期間的に考えて、申込み後の作成では面談時に間に合わないもの(試算表等)もあり、資金調達スケジュールに大きな狂いが生じかねません。
従って、融資の利用が決定した段階で、申し込み前から予め上記必要書類調達の準備に入ることをお勧めします。

上記表の内、「融資審査上重要かつ自ら作成する必要のある書類」についてのポイントをあげておきます。

K事業計画書
 金融機関では、決算書等に現れる数字に至った背景にまでは知ることが出来ません。従って、これまでの会社の業績(決算書等)を踏まえ、そこへ至った経緯と理由、そうした状況下で事業運営が今後どのような方向性にあるのかについて記述することとなります。 これらの内容は融資の可否を決める上で上、極めて重要です。 
 記述内容として、あまり詳細なものを作る必要はなく、わかりやすさを重視し、要点を踏まえて以下の点について簡潔に記述します。
・業界状況
・自社の現状(決算書に現れる数字の背景等)
・今後の取り組み内容
・資金調達ニーズ(内容、金額)
*金融機関所定の様式があれば、それにもとづきます。

L収支予想表
 過去の収支実績を参考に作成します。年単位での収支予想表を求められる場合であっても
、月単位で算出したものを集計することになります。
 収支予想においても、項目は「売上高、原価および総利益」、「販管費」、「営業利益」、「経常利益」程度で十分で、あまり項目を細分化しても意味がありません。
 収支予想は、K事業計画書で記述した内容を数値化したもので、両者の整合性が重要であり、説得性の高さに配慮して作成してください。

M資金繰り予想表
 ほぼ現金商売である業種を除いて、通常、取引に
掛取引がある場合、実際のお金の動きは損益の数値とは異なることから、審査側の金融機関にとってこの資金繰り表は、融資申込み者の資金ニーズの裏づけ資料として、極めて重要視する資料となります。
 作成方法は、売上げや仕入れにおけるサイトの過去の大体の傾向から、L収支予想表で計上した数値などを参考に、資金の出入りを記入していきます。ここでもあまり細部にこだわる必要はありません。

資金繰り表を作成していくプロセスで、自社の経営状態が見えてきます。これまで利益が上がってるのに何故か資金不足が生ずるような場合は、在庫過多、売掛金の固定化などが原因かもしれません。。
また既に借入のある会社の場合、その返済負担度合い等から、自社の現状の体力に見合った水準を図り知るなど、資金繰り表の作成を通して様々な問題点が把握できます。

4.融資審査

 提出した書類にもとづき審査が行われます。審査期間は企業の融資実績や申込み内容により異なりますが、保証協会付きなど審査の手続きが煩雑なものでは、最大で2ヶ月近く要する場合もあります。
 公的融資の場合は、総じて審査に長期間要する場合が多く、資金計画に大きな狂いが生じ兼ねないケースもあるので、注意が必要です。
融資実績等に乏しい企業になると、事務所等を対象とした現地調査なども行われます。現地調査がある場合は、自社をアピールする絶好の機会です。面談時に伝え切れなかた会社の長所などを積極的にアピールする姿勢が求められます。 

■融資獲得の心得

今後、融資の利用を検討されている方は、交渉に臨むにあたり、以下の点については最低限確認しておきましょう。
自社の返済能力を知る
 融資には、その対象として大きく分けて、運転資金設備資金の2種類があります。
そして資金種別により借入れ後の返済原資が異なり、既存の借入がある場合などは、それらも含めて自社ではどのぐらいまでの金額の返済が可能であるのかを知っておくことは、非常に大切です。(もちろん審査側も融資の適否の判断上、重要視します。)
■運転資金の返済原資
 運転資金は、在庫確保のための資金や支払や回収にともなう資金のタイムラグを埋める
ための資金で、一般的に1年以内の期間を対象とし、この場合の返済原資は「売上回集金」
となります。
■設備資金の返済原資
 土地を含めた設備資金は、長いもので20年近くの返済期間が設けられる場合もあります。
購入した設備が長期においてもたらすキャッシュとなることから、その返済原資は「税引き後利益+減価償却費」となります。

 この、「税引き後利益+減価償却費」で求められる返済原資に対し、どのぐらいの割合の融資額まで借入が可能であるかは、業種やその会社の置かれている経営状態により異なり、データ的に見ると実績で、不動産業では20倍超、建設業で18倍前後などとなっています。
 金融機関ごとに新規融資の判断基準が異なりますが、既存の借入分に対し、返済原資にある程度余裕がないと、新規融資の獲得は難しくなると言えます。 
 自社の返済能力に対して認識を深めておくことで、面談時等においても説得性のある交渉が可能となり、融資の獲得への大きなアピールとなります。

計画的な金融機関交渉を心掛ける
 当事務所に相談をされる方の中には、資金繰りに行き詰まり、切羽詰って相談される方がいらしゃいます。
 先の融資手続きのところでもお話しましたが、銀行借入には、多くの書類の提出と時間が必要です。「1週間後に資金が不足するので、何とかならないものか?」と言われても、残念ながら何とかならない場合が殆どです。
 また、新規の借入が出来たのはいいが、自社の業績見通しが甘く、その後の返済に苦しむようなケースも後を絶ちません。
 このような会社の場合、金融機関からの信頼を得ることが出来ず、その後の資金調達は益々苦しくなります。
 計画的な資金繰り予想と余裕を持っての金融機関への交渉、そして確かな返済実績を積み重ねることが、金融機関との良い関係を生み出し、良好な資金調達環境を生み出すと言えます。

中小企業に対する融資審査のツボを押さえた資料作成&交渉の実施
〜金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕指針を金融機関交渉に活用〜

 現在、銀行の融資審査では決算書にもとづく業績が最優先され、業績が悪い会社に対する融資審査は大変厳しいものがあります。
 現在、一般の企業にも広く知れ渡っていますが、金融機関では決算書等の情報にもとづき、「金融検査マニュアル」によるスコアリングにより、貸出先である企業の格付け(債務者区分を行っています。(下表参照)
 この結果、格付け評価された企業では、一定の評価以下(要管理先以下など)の場合、新たに借入を行うことが困難となってしまいます。
                【債務者区分と定義】

債務者区分 定     義 金利
正常先 業況が良好で、かつ財務内容にも特段の問題がない先
要注意先 貸し出し条件や返済状況に問題がある先、業況が低調や不安定な先、財務内容に問題がある先など、今後の管理に注意を要する先
【要管理先】

要注意先のうち、全部または一部の債権が要管理債権となっている先
破綻懸念先 現状、経営破綻の状況にはないが、経営難の状況にあり、経営改善計画等の進捗状況が芳しくなく、今後、経営破綻に陥る可能性が大きい先
実質破綻先 法的・形式的な経営破綻の状況にはないが、深刻な経営難の状況にあり、再建の見通しがない状況にあるなど、実質的に経営破綻に陥ってる先
破綻先 破産、会社整理、会社更生、民事再生、手形交換所の取引停止処分などの事由により、経営破綻の事実が発生している先

 ところが、中小企業の場合、決算書など数値化される評価項目(定量評価項目)以外を考慮に入れて評価されることとなっており、金融庁のサイトでは、下記の内容が明確に謳われています。
@「金融検査マニュアル」では、債務者区分の判断にあたっては、債務者の経営実態を総合的に勘案して判断し、金融検査マニュアルの基準を機械的・画一的に適用してはならないとしています。
A特に、中小企業等の債務者区分については、財務面における代表者等との一体性、企業の技術力、販売力や経営者本人の信用力等を検査の際にきめ細かく検証することが必要です。このため、14年6月、「金融検査マニュアル」を中小企業等の債務者区分などの検証にどのように適用するかについて、その検証のポイントと具体的な運用例をまとめた「金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕」を作成し公表しました。
 そして、金融庁では中小企業の場合、定性項目に十分配慮する融資審査の実施を、金融機関に対しマニュアル別冊を通じて、周知されたと言えます。

 この結果、この点を上手にアピールできれば、上記の格付けをアップさせることができ、結果、新たな借入への道が開けることとなります。
金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕(金融庁)

 また、金融庁は借入を希望する中小企業向に対し、「そもそも金融検査マニュアルは・・・、借り手の中小企業の方々におかれましても、今後、金融機関と取引をされるにあたって御参考となる部分も多いと考えております。特に、金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕は・・・・・、是非ご一読下さい。」と、金融機関との交渉時における取扱いの活用を強く推奨しています。
 金融検査マニュアル(中小企業融資編)では、中小企業の金融機関に対する格付け評価アップの事例を掲載(全27事例)してますが、原則、この事例に該当するケースの場合、その指針に沿った対応を金融機関に指導しており、別冊は法律ではないので、金融機関に対して強制力はないものの、金融機関の監督庁が、中小企業融資について指針を明記したものであり、現在、無視できないものとなっています。
 項目が多岐に渡りボリュームも多いものとなってますが、上手く金融機関交渉を行い、融資の実行へと繋げるためには、これから金融機関交渉にあたる場合、必ず一読し、金融機関に対する交渉で活用するようにしてください。
 マニュアルの別冊における取扱いの特徴として、定性項目に対する評価指針ゆえ、アピールの仕方次第で評価が流動的になりがちということです。
 従って、事業主自らが「金融検査マニュアル(中小企業融資編)」に照らし、定性評価項目における自社の評価部分を認識しアピールするといった姿勢になります。

【評価項目を自社の改善策として具体的に事業計画に落とし込む】
 『金融検査マニュアル(中小企業融資編)』に照らし、自社の評価項目を確認できたら、自社の現状と照らし、現在、決算書等に現れているウィークポイントへの対応を中心に、今後の事業構想(改善策)を整理し、その点をさらに具体的に、事業計画書や収支計画に反映させることが鍵となります。
 業績が思わしくない場合では、最初に決算書等を中心とした現状分析(過去〜5年分)を行うことがスタートとなります。
 これから融資を希望される企業からのご相談では、「赤字になってる理由がよくわからない」といったケースがよくあり、このような状態ではは融資担当者に不信感を抱かせ、当然、十分な現状分析にもとづき交渉を行う場合に比べて、融資を受けられる可能性は大きく低下します。
 業績が低迷する多くの企業では、抜本的な対策を立てて融資交渉を実施しているところは少なく、これまで赤字補填のために融資を繰り返してきた会社では、景気の本格的な回復が望めない現在、今後は融資のストップ、返済不能、最悪倒産という状況に陥りかねません。
 当面の資金繰りを乗り越えるためだけが目的の銀行融資の活用は、単なる気休めに過ぎなず、リスクの先延ばしであり、自社において銀行融資をこのような形で利用していないか、今一度検証していただければと思います。 

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