リスケジュール(リスケ)とは?
・リスケのタイプ
・リスケを受けるには?リスケのタイミング
・リスケのデメリット
経営改善計画書作成と業務改善(事業再生)
・リスケ実施も経営改善が見込めない場合の金融機関の対応
・リスケ後にさらに支払いが厳しくなったら
■リスケジュール(返済額の減額)とは?
「返済のための資金が足りない・・・」 一刻も早い、返済計画の見直しが必要です。
売上の減少や支出の増加などで資金繰りが急速に悪化し、銀行からの借入金の返済が苦しくなることは、珍しいことではありません。
リスケジュール(以下、リスケ)とは、現在の借入分についての毎月の返済額を減額することをいいます。本来返済する分を棚上げすることから、実質的に、新規で資金を調達するのと同じ効果があります。
金融機関への返済を始めとして資金繰りが厳しく、一方で、金融機関からの新たな資金調達が難しい状況においては、資金繰りが立ち行かなくなる前に早急にリスケにより、会社の資金流失を防ぐ必要があります。
リスケといっても、返済方法の違いによりいくつかのタイプがあります。
@元本返済停止型
一定期間にわたり元本の返済をストップし、利息のみの支払にするタイプです。
当初の返済期間を変更する方法や、返済期間を変更しないで据置後に返済額を増額
する方法があります。
A元本返済減額型
一定期間にわたり元本の返済を減額しするタイプです。
減額後に当初の返済額に戻す方法(返済期間変更)や、減額後に返済額を増額する
(返済期間非変更)などの方法などがあります。
B資金繰り円滑化借換保証
一般的なリスケは現在借入中の融資返済額を減額するのに対して、信用保証協会
の保証の付いた既往の借入金を新規保証の付いた借入金で返済するもので、期間
の長い融資への借換えや複数の保証付借入金の債務一本化を行い、実 質的に
返済額を減らすものです。
【特徴】
・A行とB信金といった異なる金融機関での保証付借入金を、B信金のみ一本化するこ
とが可能
・借換えの際、新規の融資を受けることができる
借入がある殆どの企業では、通常、会社が事業で生み出す利益だけだけでは必要とされる融資返済額をカバーしきれないことから、繰り返し融資を受けることで資金繰りを回してます。
ところが長期の業績不振で慢性的な資金繰り難の状態にあり、一向に業績が回復せず、赤字が雪だるま式に増えている会社に対し永遠に繰り返し融資を続けてくれるお人好しな金融機関などあろうはずはなく、もはや返済不能と思われる一定の借入額に達することで、金融機関からの借入を繰り返してきた会社に対し「もうこれ以上貴社への融資はできません。」との宣告、ある日を境として追加融資はストップしてしまいます。
これまで、当てにしてきた融資が受けられず資金繰りの当てが無い・・・。
銀行からの融資を止められたからといって、銀行への返済、仕入れ代金・従業員への給料の支払などは待ってくれません。
資金繰りに窮している会社がリスケ申請をするタイミングが、この金融機関からの融資が受けられなくなった時になります。これまで通り融資を受けられる状態であればリスケをする必要はありません。
リスケは通常、債務者である企業からの申し出により、金融機関で検討されることになります。申し出る内容の柱となるのが、「リスケ対象とする融資種別(複数ある場合」と「返済の減額の程度」です。
@リスケジュール期間
返済猶予の対象期間となるリスケ期間については、金融機関により予め決められていて、1年以内の期間とされる場合が殆どです。この当初のリスケ期間を経過した段階で金融機関側より上記の経営改善計画の進捗状況の確認が行われ、計画通りの業績回復傾向が伺われることで、将来的に本来の返済の開始が見込まれると判断されれば、通常、改めてリスケジュールを受けられることになります。
リスケの延長がが認める当初の約定どおりの返済になることは、その企業にとっての死活問題にも成りかねず、リスケ期間中に何としても業績回復を実現しなければいけません。
A希望返済額
リスケは、返済額を減額させることで会社が返済に回していたお金を企業の体力回復のために回し業績を改善させることが目的ですから、理想的には返済額をゼロにしたいものです。
しかしながら貸し手側(金融機関)の立場はその逆となりますので、交渉により有利な条件を得るため返済額の減額させることでの効果を経営改善計画でいかに明示できるかがポイントになります。
なお、金利の支払についてはリスケでは猶予されることはなく、場合によっては借入金利の上乗せを要求されるケースもあり、この点も交渉の対象となります。
B複数行からの借入がある場合は並行交渉で
特定の金融機関(例:メインバンク)にリスケの話を持ちかけた場合、金融機関側は最初にその会社が取引のある他行への交渉状況や他行の意向などを確認してきます。債権者側である金融機関の立場として、自行だけ不利となるリスケに応じることはなく、借入のある他行と平等にリスケの負担に応じることを前提に交渉が進められますから、特定の金融機関への偏った交渉によりリスケ交渉が暗礁に乗り上げることにならないよう注意してください。
@金融機関における会社の格付けが下がる
リスケをすると、金融機関からの格付けは下がり(下表参照)、少なくとも要注意先以下となります。(金利の引き上げ措置もあり)
さらに、リスケを行うと、新規の借入はリスケ期間中は難しくなります。
【債務者区分と定義】
| 債務者区分 |
定 義 |
金利 |
| 正常先 |
業況が良好で、かつ財務内容にも特段の問題がない先 |
低 |
| 要注意先 |
貸し出し条件や返済状況に問題がある先、業況が低調や不安定な先、財務内容に問題がある先など、今後の管理に注意を要する先
【要管理先】
要注意先のうち、全部または一部の債権が要管理債権となっている先 |
 |
| 破綻懸念先 |
現状、経営破綻の状況にはないが、経営難の状況にあり、経営改善計画等の進捗状況が芳しくなく、今後、経営破綻に陥る可能性が大きい先 |
高 |
| 実質破綻先 |
法的・形式的な経営破綻の状況にはないが、深刻な経営難の状況にあり、再建の見通しがない状況にあるなど、実質的に経営破綻に陥ってる先 |
― |
| 破綻先 |
破産、会社整理、会社更生、民事再生、手形交換所の取引停止処分などの事由により、経営破綻の事実が発生している先 |
― |
Aリスケ保証料
個人事業を含む殆どの零細企業では、金融機関からの借り入れは信用保証協会付き融資での利用が圧倒的です。融資は信用保証協会付きのみという会社も珍しくありません。
この保証協会付融資でリスケを行う場合、その際、信用保証協会に手数料を徴収されます。リスケをすると保証月数が多くなりますから、1年のリスケ期間をおくのであれば12ヶ月間、保証期間が増えることになります。
信用保証料というのは、通常、以下の算式にもとづき算定されます。
信用保証料=貸付金額×保証月数×保証料率÷12×分割係数
よって、例えば1年間(12ヶ月)延長するとなると、仮に3,000万円の債務があった場合、保証料率1.15%・分割係数0.60とすると、リスケで追加に支払う保証料は
30,000千円×12(ヶ月)×1.15%÷12×0.60=207,000円となります。
ちなみに、通常、保証料は分割払い制度がありますが、このリスケ保証料にはそれがなく、一括払いがのみです。
ただでさえ、資金繰りが厳しくてリスケしている中で、保証料が追加徴収されるわけですから、リスケ手数料が重荷になって嘆く会社も多いのが現状です。
■経営改善改善計画作成と業務改善(事業再生)
平成21年12月4日に、中小企業者や住宅資金借入者に対する金融の円滑化を図るため施行されました中小企業金融円滑化法により、金融機関に対し、企業からの貸し付け条件変更の申し出に対して柔軟に対応することが要請されたことで、中小企業のリスケへのハードルが低くなりました。
また、この法律の施行に併せて金融検査マニュアルが改訂され、リスケを行う際に経営改善計画書を作成していなくても1年以内に計画書を策定すると見込まれればよい(不良債権にはならない)という取扱いになっています。
ここで問題となるのは、この取扱いによって条件変更を認められ、当面の資金繰りの目途が立ったことで安心してしまい、その後、経営改善計画書を作成せず経営改善に着手していないケースです。
リスケの期限は必ずやってきますが、その際、経営改善への取り組みがなく業績に回復基調がみられない場合、リスケの延長は認められず、その後、元の返済条件に戻され返済できないと、金融機関が資金の回収等の強硬な対応を取ることも予想され、この場合、企業経営が一気に苦境に陥ることとなります。
【リスケを実施中で経営改善が見込めない企業に対する金融機関の対応は?】
リスケジュールは資金繰り難の先延ばしを助長するものではなく、返済猶予という手段を利用して、その間での業績回復・経営改善を促すための手段です。
リスケジュール期間中に業績回復に向けての取組みが順調であり、業績回復基調にある企業に対しては、リスケ延長や新規融資等、引き続き金融支援が行われることが想定される一方、業績回復への改善取り組み実績が全くなく、その後の業績回復の兆しが見いだせない企業などは、リスケ前の約定にもとづく返済要求、これに応じられない場合、期限の利益の喪失扱いにより、下記のような、金融機関側から厳しい対応を迫られることも想定されます。
■借入金・残債の一括返済 等
■担保提供(不動産等)している場合→任意売却の要求、もしくは競売をかける。
一般的に任意売却の方が競売よりも高い値段で売却でき、返済金額も多くなることから、金融機関の利害や売却見込みなどを考慮のうえ、任意売却か競売かの選択がなされます。
また、都市銀行を中心に、金融機関からサービサーへの債権譲渡も一般的に行われるようになっています。。
担保物件が事業用の不動産の場合、これを失うことで事業継続が困難となり、倒産も視野に入れなければならなくなります。
また、第三者の連帯保証人、物上保証人がいる場合は、保証人に対する請求とその影響を想定しておかなければいけません。
サービサーへの債権譲渡がなされた場合、その後の返済に伴う交渉はサービサーと行うことになります。
■保証協会付の借入は代位弁済になり、その後は保証協会サービサーとの交渉となる。
債権者は金融機関から保証協会移り、この場合、債務を解消するまでの間、信用保証協会付きの融資は原則的に受けることができません。
※返済が順調に進むことで「求償権消滅保証」といい新たに保証協会付融資が実行されることもあります。これは平成18年に新たに設置されたスキームで、この場合も経営改善計画(再生計画)の策定・提出が必要となります。
リスケというのはあくまでも、現在、売上高の減少等により一時的に業績が悪化している企業が業績回復を視野に入れて取り組むための猶予措置です。
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金融円滑化法設立の趣旨が与えられた返済猶予期間の間に、企業が経営改善を実施し業績回復を実現することにあり、金融機関もそれを見込んでリスケに応じています。
したがって、これからリスケが必要な企業はもちろん、既にリスケを受けているものの未だ経営改善計画に未着手の企業も、業績回復に向けての抜本的な解決を示すための「経営改善計画書(収支計画・資金繰り計画含む)」を作成し、金融機関に対し今後の道筋を示す必要があります。
●経営改善計画に求められる措置(例)
@現状分析(業績推移・業績不振要因・実態財務状況)
A@にもとづく対策の検討(コスト計画、組織体制の見直し、営業方法の改善方策 等)
B将来業績の予測(損益計画、貸借対照表、必要投資計画、キャッシュフロー計画)
これらの計画を、売上は低めに推移させる中で、利益率の改善を中心とした内容で概ね3〜5年後を目途に作成することになります。
作成した事業計画は後にその達成率(実績)が問われるため、絵に描いた餅のような計画ではなく、具体的で実践的な方法を提示することが求められます。
【リスケ後に資金繰りも厳しくなったら・・・】
前述の通り、リスケジュールを行う場合、追加での保証料の支払いが発生し、リスケの更新のたびに、この支払いが大きな負担となります。また、リスケ後、さらに業績が悪化することで、元金返済を止め、金利のみの支払をしている場合でも、そのための資金を捻出できなくなる声をよく聞きます。
こうした場合、リスケ後に支払が出来ないくなると、先の「経営改善が見込めない企業に対する金融機関の対応」でご説明したと同様の対応がなされることになります。
この場合、中小零細企業向け融資の中心である保証協会付融資については、後の代位弁済という流れを考えておく必要がありますが、この代位弁済については、経営者の方からの相談でも、代位弁済について誤った認識をも持ってる方も少なくなく、仕組み・取扱いをよく理解しておくことで、その後の適切な事業運営方針・対策を立てることができるようになります。
代位弁済への対応について、以下に当事務所への良くあるご相談・質問事項をまとめ、
私が関与しましたこれまでの案件からの情報や実務等での取扱いにもとづいた、ポイントになる点を挙げておきます。
・代位弁済をすると資金繰りが楽になる?
・代位弁済すると、保証協会付融資は利用できなくなる?
・保証協会債権回収株式会社とは?
・土地と建物を担保提供している場合、競売されないか?
・保証協会の遅延損害金が膨大な金額になってしまった
※債務者の方の経営状態、資産状況、保証人等の状況の違いによって、上記の取扱いも全く同じものとはなりませんので、今後の方針を決める上での目安として参考にしてください。
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